大腸がん検診で陰性判定なら大丈夫?


大腸がん検診を受けて便潜血検査の結果が陰性だと少し安心しますよね。


だってもし陽性だったら大腸がんが心配だし、大腸カメラも受けなきゃいけない。


だから結果が陰性だとわかると、ほとんどの人は大腸がんのことを次の検診まで考えることはありません。


でもここで待って欲しいんです。


果たして本当に大腸がん検診の陰性判定は大丈夫なのでしょうか?


答えはNoです。


なぜなら検診の結果が陰性でも、その後に大腸がんが見つかった患者さんを僕は何人も見たことがあるからです。


この記事は大腸がん検診で陰性判定だった方に消化器内科医の立場からぜひ読んでいただきたい内容です。


それでは解説していきます。

目次

大腸がん検診は大腸がんの否定には使えない



大腸がん検診で行われる便潜血検査は、採取した便に血液が混じっているかどうかを判定する検査です。


大腸がんの表面粘膜はもろく、便が横を通ってこすれると血液が混じるという仕組みです。


しかし大腸がんがあったとしても、横を通った便に必ずしも血液が混じるとは限らないので、検査をすり抜けて陰性となる可能性があります。



実際に進行大腸がんの20-30%、早期大腸がんの70-80%で便潜血検査が陰性になってしまうという報告もあります。



つまり進行した大腸がんがあったとしても、10人に2-3人が見逃されてしまう計算になります。



ですので大腸がん検診で便潜血検査が陽性でも陰性でも大腸がんのリスクは誰にでもあることをまずは知っていただきたいんです。




大腸がん検診は大腸カメラを受けるきっかけ作り




大腸がん検診の結果がどうであれ、大腸がんの可能性は誰にだってあります。


だとすると


何で大腸がん検診なんてやるの?


当然このような疑問が出てきますよね。



大腸がん検診を受ける理由は、『大腸カメラを受けるきっかけを作るため』だと僕は思います。



大腸がんが実際に存在するかどうかは大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でしかわかりません。



しかしその大それたイメージがゆえに、なかなか検査を受ける気にはなれないものです。



誰だって便秘や血便などの症状がなければ、大腸カメラなんてなかなか受ける気にはなりませんよね。



でももしあなたが便潜血陽性と判定されたら、大腸カメラを受けようか少し悩みませんか?



大腸がん検診は大腸カメラを迷うみなさんの背中を後押ししてくれる検査としてとても重要な役割を果たしています。




実際に毎年便潜血検査を受けると33%、2年に1度受けた場合でも13-21%大腸がんの死亡率が低下するという報告もあります。




こういったデータからも大腸がん検診は大腸がん予防につながるとされています。




多くの消化器専門医が『大腸がん検診を受けるよりも大腸カメラを受けた方が絶対に良い』という意見を持っています。



詳しくはこちら↓




大腸カメラは大腸がんを早期に発見し、がんの芽となるポリープを切除できる唯一の方法だということを知っているからです。




ですがその一方で、多くの方が検査に対する怖いイメージを持っているのも重々わかっています。




ですので自分の健康を考えて大腸がん検診を受けること自体がとても大きな一歩ですし、素晴らしいことです。



最初から大腸カメラを受けるハードルが高ければ大腸がん検診を受けてから、先生と相談して検査をどうするか決めても良いと僕は思います。


40歳を過ぎたら1度は大腸カメラを受けておく



消化器内科医の中では40歳を過ぎたら1度は大腸カメラを受けておいた方が良いというのが定説です。


(先生によっては30歳を過ぎたらという方もいますが・・・)


これにはもちろん理由があります。



1つは大腸がんは40歳を過ぎたあたりから増加するからです。



次の表をご覧ください。

こちらは国立ガン中央センターの出しているデータです。



40歳を過ぎたあたりから大腸がんの罹患率が上がってきます。


※詳しい内容を知りたい方はこちら


今や日本人の2人に1人が癌になる時代です。



その中で大腸がんは罹患数1位のがんなので、誰にだって十分大腸がんになる可能性があるんです。



それゆえ40歳を過ぎたら症状の有無に限らず一度は大腸カメラを受けるべきであると考えられているんです。



そして大腸カメラを受けるべきもう1つの理由に大腸ポリープを切除しておくというポイントがあります。



9割の大腸がんは大腸ポリープが年月をかけて成長する過程で発生します。



逆に大腸ポリープの段階で切除しておけば9割の大腸がんを未然に防ぐことができます。



中には顔つきの悪い進行の早い大腸がんもありますが、基本的にはゆっくり成長していきます。



ポリープの成長期間を考えると大腸がんと診断される数年前からポリープは存在していると考えられています。



つまり40歳を過ぎた時点で大腸カメラをしてポリープを切除しておけば、その数年後の大腸がんを一定の確率で抑えることができるということです。



こういった理由で40歳を過ぎたら1度は大腸カメラを受けるべきだと言われます。

大腸カメラを見送ってもいい場合は?




まずは大腸がん検診で陰性判定でも大腸カメラを受けた方がいい場合を挙げさせていただきます。



①便秘、血便などの自覚症状がある場合

②40歳を過ぎてこれまで1度も大腸カメラを受けたことがない場合

③前回の大腸カメラから5年以上経過している場合

④前回大腸カメラを受けてポリープを切除してから3年以上経過している場合

⑤前回大腸カメラを受けて10個以上のポリープあるいは10mm以上の大腸ポリープを切除してから1年以上経過している場合


①〜⑤に当てはまる方は便潜血検査で陰性判定でも大腸カメラを受けることをお勧めします。


逆に上記に当てはまらない場合は特別な理由がない限りは大腸カメラを見送ってもいいと考えられます。


医療の世界ではどんなことでも絶対はないので、ご自身の判断に迷いがある場合は一度医療機関を受診されることをお勧めします。

結論



大腸がん検診は大腸がんの有無の判定には向かないものの、大腸カメラを受けるきっかけになる重要な検査です。

40歳まで1度も大腸カメラを受けたことがなければ内視鏡検査を優先し、大腸がんの早期発見・ポリープ切除を行うことで大腸がんにかかる可能性を低くすることができます。


当院では皆さんがより安全に快適に内視鏡検査を受けていただけるよう工夫をしております。


大腸カメラを受けようか迷っている方はぜひご相談くださいね。




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