新型コロナワクチン今知っておくこと【3分でポイント理解】
こんにちは。水野クリニックの水野創太です。
最近話題の新型コロナウイルスのワクチンについてお話しします。
「ワクチンはいつ打てるの?」
「ワクチンは打ったほうがいいの?」
「mRNAワクチンって安全なの?」
「変異株には効果がないんじゃないの?」
新型コロナワクチンに関する情報が方々飛び交っておりますが、聞けば聞くほど不安になるばかりですよね。
これだけ情報が多いともう訳がわからなくなってしまいます。
もう打たない方がいいんじゃないか。
でも打たなければコロナを誰かにうつしてしまうんじゃないか。
などなど、医師である僕もあまりの情報の多さに少々困惑しております。
実際日々の診療でもワクチンに関する質問を多数いただきます。
そこで今回は新型コロナウイルスワクチンについて、今知っておきたい情報をまとめたので皆さんにご紹介します。
1つ注意をしておきたいのは、私の専門は消化器内科であり、感染症や疫学研究が専門ではありません。
専門分野であれば医学論文や症例報告をベースに判断すべきですが、こういった場合は信頼できる専門家や公的な機関からの情報を頼りにするのが最も効率的です。
医師が医学情報を取捨選択する上でのコツについてはまた別の記事で紹介させていただきますね。
またこの記事には「あなた」がコロナワクチンを接種すべきかは書いておりませんのでご了承ください。
ワクチンに関する情報は日々アップデートされていきます。
総合的に考えて自分が打つべきか否かを決めましょう。
それではいきましょう。
この記事は3分で読めます。
目次
新型コロナワクチンの接種開始は2月下旬ごろと予定されています。
ワクチンには限りがあるため
①医療従事者
②高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
③高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設で従事されている方
④それ以外
という順序でワクチン接種が予定されております。
またワクチンは2回打つ必要があります。
接種時期より前に、市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届くようです。
接種場所はワクチンを接種することができる指定の医療機関や接種会場を探し、会場へ行きワクチンを接種する形です。
接種費用は全額公費(無料)で接種できる予定です。
新型コロナウイルスワクチンのニュースで最近何かと話題のmRNAワクチン。
でも
ワクチンというワードは聞いたことがあるけれど、mRNAなんて聞いたことがないよ。
という方が多いのではないでしょうか。
これはmRNAと書いて ”メッセンジャーアールエヌエー” と読みます。
mRNAは生物系、遺伝学などに精通している人の中ではある程度一般的な言葉です。高校の生物や医学部の授業でも何回か出てきます。
そもそも人間にはDNAと呼ばれる遺伝情報が存在します。
ヒトの体の中ではこのDNAの遺伝情報をもとに必要なタンパク質が作られています。
RNAはDNAに書いてある遺伝情報をコピーして、そのタンパク質合成を助ける役割をしています。
このmRNAワクチンは新型コロナウイルスを体に入れるのではなく、ウイルスの元となる情報の一部を接種することによって体内にウイルスの一部分を作るように設計されています。
注意したいのは体内にできたウイルスの一部分には病原性はありません。
そして病原性のないウイルスの一部分に対する抗体(新型コロナウイルスに対する兵隊)が体内で作られるという仕組みです。
「でもウイルスの遺伝情報の一部を入れるのは危険じゃないの?」
と思うのは当然です。
ではさらに説明を続けますね。
mRNAは数分から数日といった時間の経過とともに体の中で分解されていきます。
そしてmRNA自体、人のDNAに組みこまれることはありません。
体の中でDNAからRNAがつくられる仕組みはありますが、RNAからDNAを作る仕組みはありません。
つまり情報の流れは一方通行で、DNA→RNAはあり得ますが、RNA→DNAは作られることはありません。
ですので接種した情報が体に長期的に残ったり、精子や卵子の遺伝情報に取り込まれることはないと考えられています。
ワクチンにも作用機序によっていろいろ種類があります。
また作っている会社も複数あります。
日本で採用が予定されているmRNAワクチンにはモデルナ、ファイザー、アストラゼネカ社が挙げられています。
ファイザー社とモデルナ社の mRNA ワクチンでは、第Ⅲ相臨床試験の中間報告が発表され、有効率 90%以上という優れた成績がみられています 。
ただし報告のほとんどが白人系人種での結果であるため、アジア系人種への接種がどのように作用するかは未確定要素が多く注意が必要です。
また一度できた抗体がいつまで持続するかに関しても明確にわかっておりません。
本研究も観察期間(患者さんを実際に研究して追った期間)が短いため、今後の研究の積み重ねによってわかってくるでしょう。
ちなみに毎年接種するインフルエンザワクチンの成人での有効率が50%前後なのでかなり高い結果ではないでしょうか。
多くの人が新型コロナワクチンを打つべきかどうかで迷う点は副作用の問題だと思います。
新型コロナワクチンは新しいワクチンであるし、ましてや周囲に接種したことのある人はいませんよね。
だから誰しもが不安になるのは当然のことです。
とはいえ一般的にどんなワクチンも副反応が起きる可能性があります。
例えばインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを打って、注射したところが腫れるというのも一つの副反応です。
では新型コロナウイルスのmRNAワクチンではどのような副作用報告が出るのでしょうか。
先ほど挙げたモデルナ社とファイザー社のプレスリリースから考察しようと思います。
まずモデルナ社からの報告ですが、有害事象(副作用)の大部分は軽度または中等度のものでした。
ワクチンは計2回打つので、
1回目の投与後は頻度が2%を超えるグレード3(重度)の副作用に注射部位の痛み(2.7%)が挙げられました。
2回目の投与後は倦怠感(9.7%)、筋肉痛(8.9%)、関節痛(5.2%)、頭痛(4.5%)、痛み(4.1%)、注射部位の紅斑/発赤(2.0%)が挙げられました。
次にファイザー社からの報告ですが、
頻度が2%を超えるグレード3の有害事象は3.8%の倦怠感と2.0%の頭痛のみでした。
【参考:有害事象のグレード】
グレード1 軽度の有害事象
グレード2 中等度の有害事象
グレード3 重度の有害事象
グレード4 生命を脅かす、または不能となる有害事象
グレード5 有害事象による死亡
といってもよくわかりませんよね。
つまりどちらのワクチンを打ってもグレード3以上の重度の副作用は一回目の接種では数%ということです。
じゃあ実際に副作用がどれほどの頻度で起こるかという話ですが、私たちに比較的馴染み深いインフルエンザワクチンを例に考えてみます。
平成28年のインフルエンザワクチンの副反応報告を見てみると、計5000万回予防接種を行って、重篤な副反応が出たのは163症例でした。
つまり30万人に1人は重篤な副反応が出る計算です。
一方先ほどから提示しているmRNAワクチンの報告は4万人程度の研究結果ですので、インフルエンザワクチンの5000万例の報告に比べるとまだまだ評価する上では統計学的には不十分であると考えられます。
ただ2回目の接種後の倦怠感や筋肉痛は一定の副反応としては現れる可能性があるのではないかと考えられます。
ですので現状新型コロナワクチンに関しては、
重度の副作用が出る可能性は高くはないが、ゼロではない。これまでの研究数が少なく、アジア人への投与症例が少ないため現時点では研究途上というのが実情です。
まずは医療機関で然るべき治療を施します。
また予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障害が残ったりした場合は、予防接種法に基づく救済が受けられます。
最近何かと話題のウイルス変異株・・・。
イギリス変異株、南アフリカ変異株、ブラジル変異株が現在確認されています。
変異株にはタンパク質の変異がありますが、ワクチンが効かないほどの変異ではないという報告もあります。
一方で南アフリカ変異株に関しては効果が減弱するという報告もあります。
いずれにせよ今のところ既存のワクチンで変異株をカバーできないという証拠はないため、はっきりとした結論が得られるのはまだ先になると思われます。
しかしそもそも変異株の出現を阻止する方法は、ウイルスを封じ込めることに尽きるため、既存のウイルスに対する対処をしっかりおこなうことには変わりありません。
以上の情報を踏まえ、
私は新型コロナウイルスワクチンを打とうと考えています。
理由は、
①ワクチンの有効性が高いこと
②副反応が出る可能性はあるが、許容できる範囲におさまる可能性が高いこと。
③多くの患者さんの診察しており、自分が媒体となって感染を拡大する可能性も十分にあるため。
最後にお話をしておきたいのは、本記事では皆さんにワクチン接種をすべきか肯定も否定もしないということです。
まだまだ新型コロナ感染症が落ち着きませんが、随時ブログを更新していきます。
それでは今日はこのあたりで失礼します。
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