薬に頼らず血圧を下げる方法【医学論文から考える効果的な方法】



こんにちは。水野クリニックの水野創太です。



「毎年健診で高血圧を指摘されるけど、病院へ行くと薬を始めないといけなくなるから受診したくない・・・。」



「ジムで血圧を測るといつも高い。自力で血圧を下げるために運動をしているのになかなか下がらない・・・。」



「できるなら薬を使わず血圧を下げたい・・・。」


などなど、血圧を下げたいけども薬に頼るのには抵抗がある方が多いのではないでしょうか。


実際に薬に頼らず血圧を下げたいと言われる患者さんはたくさんみえます。




減塩や健康的な食生活が大切なのはわかっているけども、なかなか長続きしない・・・。




という気持ちもよくわかります。


ですがそういった健康習慣が実際にどれくらいの効果をもたらすかがはっきりわからないとモチベーションも上がりませんよね。


それはまるで先の見えないトンネルをただひたすら歩くような気持ちにもなってしまいます。


そんな時に『血圧を下げるサプリメント』などを知り合いから勧められると、思わず飛びついてしまいたくなります。


ですが残念ながら、科学的に証明された『血圧を下げるサプリメント』は現状存在しません。


頼りにできるのは皆さんの日々の生活習慣だけです。


今回はこれまでに発表された血圧に関する論文を元に、薬に頼らず血圧を下げる方法をご紹介いたします。


もちろんこの方法は全ての方に当てはまるものではないですし、血圧の薬を否定するものでもありません。




・薬を使わないと血圧コントロールができない方


・心筋梗塞や脳梗塞など基礎疾患のある方


・糖尿病や脂質異常症などの他の血管リスクとなる病気をお持ちの方





こういった方は血圧の薬を飲むことが必要になります。




たとえ血圧の薬を飲まないといけない方でも、今回ご紹介する方法はそういった方にとっても効果の期待できる方法であると考えています。




ぜひ無理のない範囲内で生活に取りいれるようにしましょう。




それでは行きましょう。


目次

高血圧の治療は生活習慣の見直し


高血圧の患者さんは本邦では約993万7,000人(2017年)と報告されています。

(参考文献:厚生労働省公式HPより)


血圧は高いけれど病院を受診していない人を含めると約4300万人ほどいると想定されています。


つまり国民の3分の1は高血圧という計算になります。


もともと生まれながらに血圧が高い人はほとんどいません。


1日3回食べる食事、睡眠、運動習慣の結果が血管に影響をし、結果として血圧を上げも下げもします。


もちろん遺伝的な要素もありますが、環境要因も多いに関係しています。


そう、高血圧はその名の通り『生活習慣病』なのです。




ですので病気の根本治療は日々の食事、運動、睡眠になります。


それでは具体的な方法を紹介して行きます。


▶︎薬に頼らず血圧を下げる方法




①減塩




減塩は最もよく知られた高血圧治療法です。


日本の成人の食塩摂取量は男性で平均11.0g/日、女性で9.3g/日と言われています。(参考文献:厚生労働省平成30年国民健康・栄養調査報告


日本の食塩の推奨摂取量は男性で7.5g/日、女性で6.5g/日と設定されています。




1日あたり男性なら3.5g、女性なら2.8g塩分を取りすぎていることになります。




それではどれくらいの塩分を我慢したら、どれくらい血圧が下がるのでしょうか?


▶︎Effects of low sodium diet versus high sodium diet on blood pressure, renin, aldosterone, catecholamines, cholesterol, and triglyceride



コクランレビューという海外でも信頼されている雑誌に掲載された研究結果です。




欧米人では3.9g/日減塩することで収縮期血圧が-5.51mmHg、拡張期血圧が-2.88mmHg低下しました。


アジア人では収縮期血圧が-7.75mmHg、拡張期血圧が-2.68mmHg低下しました。※収縮期血圧は上の血圧、拡張期血圧は下の血圧


特に日本人はインスタントラーメンや梅干し、漬物からの塩分摂取が多い傾向にあるとされています。

②有酸素運動


有酸素運動も血圧を下げる効果がありそうです。


▶︎Effect of aerobic exercise on blood pressure: a meta-analysis of randomized, controlled trials



有酸素運動の習慣のある人は、平均収縮期血圧が-3.84mmHg、平均拡張期血圧が-2.58mmHg下がるという結果でした。




この研究では高血圧の人もそうでない人も有酸素運動によって血圧の低下効果を得ることができました。


③減量



過体重や肥満の人はそうでない人に比べ高血圧のリスクが1.5〜2倍上がるといわれています。


とはいえ腰が悪かったり、膝が悪かったりしてなかなか減量ができないことも多いと思います。


大丈夫です、安心してください。


いつもと同じ食事を継続しながら毎日運動を続けたとしても、1年でたった1-2kg程度しか体重は落ちないという報告もあります。


運動ができなくても食事管理で確実に体重を落とすことができます。


ダイエットの9割は食事だと言われる理由です。


そして減量をするだけでも血圧を下げる効果があることが報告されています。


▶︎Influence of weight reduction on blood pressure: a meta-analysis of randomized controlled trials



2003年の少し古い研究になりますが、



体重が1kg減るごとに血圧が1mmHgづつ下がるといった研究結果が出ています。




『え、体重を1kg減らしても1mmHgしか血圧は下がらないの!?』


『だったら減量してもあんまり効率的じゃないなぁ・・・』



と思っていませんか?




一見効果が少ないように聞こえますが、減量の効果はとても大きなものであると考えられます。




薬の種類によって効果には差がありますが、一般的に血圧の薬には平均10mmHg程度血圧を下げる効果があると言われています。





もしあなたが標準体重より10kg重い場合、しっかりと標準体重まで減量することができれば、理論上は血圧の薬を飲んでいるのと変わりないことになります。




それだけではありません。




内臓脂肪が減れば、脂質異常症や糖尿病の発症のリスクもぐんと下げることができますし、死亡率も確実に下がることでしょう。




決して無理な減量はお勧めはしませんが、『自分でも少し太っているなぁ』と思っている方は、自分のためだけでなく、大切な人のためにも減量をすることをおすすめします。



まとめ


それでは今日のまとめです。



・高血圧の第一治療は生活習慣の見直しです

・1kg痩せれば1mmHg血圧が下がるかも

・塩分を減らすことで5-7mmHgほど血圧を下げれるかも。




いかがでしたか?


誰だって飲まなくてもいいならば薬なんか飲みたくありません。


それでも飲まないといけない理由があるから私は患者さんに薬を処方しています。


高血圧や糖尿病のような生活習慣病の治療の主体は患者さんご本人です。


いくら薬を飲んでも生活習慣が乱れていると思ったような結果が出ないこともあります。


中には残念ながら頑張っているのに、良い結果が出ない患者さんもみえます。



月に1回か2回程度しかお会いできない患者さんがほとんどなので、短い時間でよりわかりやすく説明ができるよう私も勉強を続けてまいります。


今回のテーマが少しでも多くの方にとって有益なものであると幸いです。


それでは今日はここまでとしましょう。

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