胃カメラを受けるなら「鼻から」がいいか「鎮静剤を使って口から」がいいか?


胃カメラを希望される場合、まず迷うのがどのような方法で胃カメラを受けるかではないでしょうか?

特に胃カメラを鼻から受ける(経鼻胃カメラ)か、鎮静剤を使って口から受けるか(鎮静胃カメラ)という2択で悩まれる方が多い傾向にございます。

それぞれにメリット・デメリットがあって、何を優先するかで選択肢が変わります。

今回はどちらの検査方法を選ぶべきか、医師という観点だけではなく実際に両方とも検査を受けたことのある私の経験も混えてご説明させていただきます。

目次

一番苦痛の少ないのは鎮静胃カメラ


諸説ありますが、実際に検査を受けられた患者さんの声と私の実体験から


「覚醒、口から」

    V

「覚醒、鼻から」

    V

「鎮静、口から」


の順で検査の苦痛が大きいものと考えられます。


わかりやすい例として、慢性胃炎の患者さんは定期的な胃カメラでがんができていないかをチェックすることが推奨されています。

人によっては毎年の胃カメラなのでできれば苦痛なく検査を受けたいところですが、一度鎮静剤を使用して検査を受けられた方は基本的に「覚醒、口から」や「覚醒、鼻から」へ戻ることはありません。

それだけ鎮静胃カメラが覚醒胃カメラに比べて苦痛が少ないということです。

口から胃カメラを挿入する一番の苦痛は咽頭反射と呼ばれる「オエッ」とする感覚です。特に若い方はこの反射が強く出る傾向にあり、胃カメラがトラウマになってしまう方も見えます。

咽頭反射の出にくい検査が経鼻胃カメラです。鼻からカメラを挿入することで、のどの反射を引き起こすポイントを避けることができます。口からの胃カメラに比べて咽頭反射がでにくく、比較的楽に検査を受けることができます。ただ鼻腔の狭い方や鼻の押される感じが苦手な方には、かえって口からの胃カメラよりしんどいケースもございます。

前述したように最も苦痛の少ないのが鎮静胃カメラです。点滴から鎮静剤を注射して、うとうと眠っている間に検査をおこないます。ぼーっとしている間に検査を行うので咽頭反射を自覚しにくく、当院ですと約9割の方が苦痛なく検査を受けていただけております。ただし鎮静剤を使用すると、検査後にしっかり覚醒するまでお休みいただく必要があったり、車の運転ができないなどの制限がございます。


とにかく胃カメラが怖いという方や、検査に対するトラウマのある方は鎮静胃カメラをおすすめいたします。

時間のない人には覚醒胃カメラ


鎮静胃カメラのデメリットは検査後1時間程度お休みいただく必要がある点と車の運転ができなくなる点です。

仕事や家事で忙しい方にとって1時間の拘束時間と運転制限は大きなデメリットですよね。

そこで覚醒状態で胃カメラを受けていただければ、検査後すぐに結果を説明し車で帰宅することができます。


覚醒胃カメラを受ける際、口からの胃カメラを選択すべきか、鼻からの胃カメラを選択すべきか迷うところですが、苦痛をなるべく抑えたい方は鼻からの胃カメラにトライされてはいかがでしょうか。


鼻が苦手だという方は、経鼻内視鏡スコープを口から挿入すると意外と楽に検査を受けられる場合もございます。


ぜひ一度検査担当の先生にご相談ください。

胃カメラタイプ別おすすめの方

鼻からの胃カメラ(経鼻胃カメラ)をおすすめする方


・以前経鼻胃カメラで問題なく検査を受けることができた方


・忙しくて時間に余裕のない方


・検査後車の運転の予定のある方


経鼻胃カメラのメリットは鼻から挿入することで咽頭反射を抑えることができる点です。
また検査中画面を見ながらお話をすることができるので、気になるポイントを医師に相談することができます。覚醒状態で行うので鎮静胃カメラと違い、検査後にすぐ説明を聞いて車で帰宅できます。

鎮静剤を使用して口からの胃カメラ(鎮静胃カメラ)をおすすめする方


・胃カメラに対する恐怖心の強い方

・できるだけ苦痛を少なく検査を受けたい方

・車の運転をする予定のない方

・検査後お時間に余裕のある方


鎮静胃カメラのメリットはなんといっても検査中の苦痛が少ない点です。
うとうとしている間に検査をおこなうため、患者さんによっては検査中の記憶が一切ない方も見えます。
デメリットとしては検査後の休息時間と運転制限が挙げられます。
胃カメラの苦痛をできるだけゼロに近づけたい方は鎮静胃カメラをおすすめします。

覚醒して口からの胃カメラ(経口胃カメラ)をおすすめする方


・覚醒して経口胃カメラに慣れている方

・以前経鼻胃カメラが苦しかった方で時間がなかったり、運転する必要のある方


たいていの場合、経口覚醒胃カメラはしんどいことが多いです。
しかし経鼻胃カメラの苦痛が強い方にとっては、口からのカメラ挿入の方が負担が少ない場合もございます。以前から経口胃カメラで慣れている方におすすめです。

経鼻内視鏡と鎮静胃カメラのメリット・デメリット


経鼻胃カメラ


鎮静胃カメラ

メリット・検査中話をすることができる
・画面を見ながら検査を受けられる
・咽頭反射が出にくい
・眠った状態で検査を受けられるので負担が少ない
デメリット・鼻の押される違和感はある・鎮静剤による呼吸抑制や血圧低下などのリスクがある
・検査後1時間休む必要がある
・検査後の運転ができなくなる
注意点・鼻の狭い方はカメラが挿入できない場合がある・麻酔薬が効かない人もいる

結論

胃カメラ検査の受け方に正解はございません。

患者様それぞれ検査スタイルに合う合わないが必ずございます。

実際に検査を受けられる先生にぜひご相談ください。


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