胃薬は飲み続けて本当に大丈夫なの?

私ってずっと胃薬飲んでるけど大丈夫かしら?

胃薬って飲み続けると副作用が出るって聞いたけど本当?

このような疑問を持たれたことはありますか?

今回は胃薬の中でも特に酸分泌抑制薬(PPIやPCAB)の長期内服の問題点について述べさせていただきます。

PPIの代表例としては、タケプロン(ランソプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)、ネキシウム(エソメプラゾール)が挙げられます。

またPCABはPPIとは異なる作用機序を持つ薬でタケキャブ(ボノプラザン)という薬にあたります。

長期服用されている方にぜひ読んでいただきたい内容となっております。

目次

酸分泌抑制薬(PPIやPCAB)だけが問題なの?

酸分泌抑制薬は胃薬の中でも特に胃酸の分泌を抑えるタイプの薬です。


原則としてどんな薬でも副作用は起きうるので、酸分泌抑制薬だけが問題というわけではありません。

ただ酸分泌抑制薬(特にPPIやPCAB)は逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍の第一選択薬とされていたり、心筋梗塞や脳梗塞後の抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)に対する出血性潰瘍予防で処方されるなど医師の中でも処方機会の多い薬です。

薬の効果を期待できる反面、よく処方する薬という点が長期処方に繋がりやすいのかもしれません。

酸分泌抑制薬(PPIやPCAB)で起こりうる副作用

胃がん

PPIやPCABは胃がんの原因となるピロリ菌除菌薬として選択されます。

ただ最近ではピロリ菌除菌後の方において、PPIやPCABの長期投与が胃がん発症につながる可能性が報告されています。

直接的な因果関係は明らかになっていないものの、胃酸の分泌を過剰に抑えることで本来の胃内環境のバランスが崩れることが発癌につながるのではないかと推察されています。

参考文献:日本ヘリコバクター学会誌 Vol.25 No1(2023)

骨折・骨粗鬆症

PPIの長期内服が骨折や骨粗鬆症と関係があるかはどうか未だに決着がついておりません。

薬の影響でカルシウムの吸収が悪くなり骨強度が低下するという機序が想定されていますが、骨折・骨粗鬆症のリスクとなるという報告がある一方で、特に関連性はないという報告もされています。

PPIを飲み続ける必要のある方は定期的に骨密度を測定することも対策の1つです。

認知症

PPIを長期内服している人は認知症の発症リスクが上昇するという報告があります。

マウスの実験では、PPIの長期内服がアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβタンパク質の産生を促進させることがわかっています。

ただその一方でPPIの長期内服が認知症発症リスクにならないという報告もあるため、まだはっきりとした見解は得られていません。 

参考文献:J Am Geriatr Soc,66:247-253,2018

慢性腎臓病

腎機能障害との関連性も示されています。

特に高齢者ではPPIの長期内服で間質性腎炎による腎機能障害を起こす可能性があるとされています。

腸管感染症

PPI内服によって病原性の菌が胃の中で殺菌されず腸へ侵入して感染を起こすことが懸念されます。

実際にPPI内服がサルモネラ腸炎やカンピロバクター腸炎と関与するという報告もされています。

参考文献:Ann Pharmacother 52:613-622,2018

Collagenous colitis(膠原線維性大腸炎)

PPI長期内服中に慢性の下痢がある場合に一定の割合で見つかるのがCollagenous colitisです。

大腸の粘膜表面に縦に潰瘍ができるのが典型的な所見です。

Collagenous colitisはPPI以外にも痛み止めなどが原因になることがありますが、一般的に休薬することで症状が改善します。

肺炎

胃酸には体外から侵入する菌を殺菌する効果があります。

ところがPPIを飲むと胃酸の分泌が減って殺菌効果が落ちるので肺炎を起こしやすくなるのではと言われています。

PPIと肺炎の関連性を示唆する報告はいくつかありますが、現状一定の見解は得られていません。

胃薬をずっと飲まなければいけない場合とは?

具体的に胃薬を長期服用する必要がある代表的なケースをあげさせていただきます。

難治性の逆流性食道炎

胃薬を飲まないと逆流性食道炎の症状がおさまらない場合があります。

そういった場合は、やむなく胃薬を飲み続ける必要が出てきます。

漫然と処方が続いていることもあるため、ある程度症状が落ち着いている場合には一度休薬することも検討されます。

また酸分泌抑制薬の中でもPPIやPCABではなく、H2RA(ファモチジンやガスター)に切り替えられるようなら

薬の変更かできないか主治医に相談してみるのもいいかもしれません。

抗血栓薬の出血性潰瘍予防

心筋梗塞や脳梗塞を発症した方は、再発予防のためアスピリンを代表とする抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を処方されることがあります。

特にアスピリンは胃潰瘍を作りやすく、尚且つ服用することで血液が止まりにくくなるため胃潰瘍からの出血には注意が必要です。

アスピリンによる胃潰瘍を予防する目的でPPIやPCABが処方されます。

またアスピリンとPPI(例:タケルダ)、アスピリンとPCAB(例:キャブピリン)の合剤もあるため知らず知らず胃薬を内服されている場合もあります。

まとめ

PPIやPCABといった胃薬は数ヶ月という短期間の服用であれば特に問題ありません。ただ長期的に服用すると何かしらの副作用が出る可能性があります。

飲まないといけない理由がある場合、基本的には継続して服用することをおすすめします。場合によっては薬の変更や休薬のできるケースもあるので主治医に相談するのも1つです。

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