胃粘膜下腫瘍って一体なに?胃がんとは違うの?

胃カメラで見つけることのできる病気は胃がんや胃潰瘍だけではありません。


日常的に胃カメラをおこなっていると様々な病気に遭遇します。

その中でも今回ご紹介する胃粘膜下腫瘍は、内視鏡医が比較的出会う確率の高い病気の1つです。



胃カメラを受けて胃粘膜下腫瘍と言われて心配です。

バリウム検査で胃粘膜下腫瘍を指摘されたけど大丈夫かなぁ。

胃粘膜下腫瘍って放置しても大丈夫?



という疑問を持つ方に向けての記事となります。


この記事を読んでいただくことで胃粘膜下腫瘍のざっくりとした全体像を掴んでいただくことができます。

診療の時に先生に聞きそびれたことや、次回の受診までに聞いておきたいことなどを頭の中で整理するヒントに使っていただけると幸いです。

それではいきます。

目次

胃粘膜下腫瘍ってなに?胃がんとは違うの?



胃の構造

参考文献:小野薬品工業株式会社HPより抜粋


胃粘膜下腫瘍とは読んで字の如く「胃の粘膜の下」から発生する腫瘍のことです。

実はうす〜い胃の壁も5層構造をしています。


一番表面は粘膜層、その下が粘膜下層、その下が筋層というようにまるでミルフィーユのように層が分かれています。


そして5層構造のどこから腫瘍が発生するかで病気が変わってきます。


特に粘膜層よりも深いところで発生する腫瘍を粘膜下腫瘍といいます。


例えば胃の悪性腫瘍の代表格である胃がんは胃の表面の粘膜層から発生します。


表面の粘膜で腫瘍が発生しているので、胃カメラで見た時に表面が赤く荒れて、もろくなって血液が滲んでいることもあります。


一方粘膜下腫瘍は表面の粘膜層ではなく、粘膜の下に腫瘍ができて表面がこぶのように盛り上がって観察されます。


イメージとしてはボールの上に布がかぶさっているような感じです。


表面の粘膜に問題はないので、表面の綺麗なコブのように見えるのが特徴です。


このように胃粘膜下腫瘍は胃がんとは発生する場所が異なるので、カメラでの見た目も変わってきます。

厳密には胃カメラだけでは診断できない。

粘膜下腫瘍はきれいな粘膜の下にできるので、表面を見ただけでは中身が何かを判別することはできません。


ただ、ある程度腫瘍の形や硬さなどから何があるかを推定することはできます。


言うなれば布の下に何があるかわからないけど、形や硬さからボールなのかサイコロなのか目星をつけることはできるということです。


例えば脂肪腫と呼ばれる粘膜下腫瘍があります。脂肪腫は粘膜の下にできた脂肪の塊なので、触るとブヨブヨして簡単に腫瘍が凹みます。


また平滑筋腫は硬くコリコリしていますし、迷入膵は腫瘍のてっぺんが凹んでいるという特徴があります。


このようにある程度胃カメラでどのような腫瘍が粘膜の下に潜んでいるかを推察することができますが、あくまで推察なので確定診断とまでは至りません。

確定診断には超音波内視鏡や穿刺吸引法(針を刺して細胞を採取する方法)が選択される。

図4超音波内視鏡(矢印でかこった部分が粘膜下腫瘍)
                            日本消化器内視鏡学会HPより引用

胃カメラだけでは粘膜の下に何があるか確認できないので、次に選択されるのが超音波内視鏡(EUS)です。

胃カメラの先端に超音波を搭載し、粘膜の下に何が潜んでいるかを観察する方法です。

この検査をすることで腫瘍の中身がどのような構造をしているのか、悪性を示唆する所見がないかを確認することができます。


さらに必要に応じて腫瘍を針で刺して細胞を採取することもできます。



ただ超音波内視鏡(EUS)は一般的には入院施設のあるような大きな病院にしか置いていません。


検査機器が高価である上に使用頻度もそれほど高くないからです。


また、もし穿刺吸引となれば消化管穿孔(胃が裂けて穴が開く)などのリスクも少なからずあるからです。


クリニックレベルでおこなうことのできる検査は胃カメラまでです。


検査をした医師が超音波内視鏡(EUS)が必要なケースだと判断すれば専門施設へ紹介となります。


超音波内視鏡(EUS)を行うのは悪性腫瘍が否定できない場合

胃粘膜下腫瘍の確定診断には超音波内視鏡(EUS)が必要なのに、検査を受ける必要がない場合もあるの?


そう疑問に思った方はとても鋭いですね。

実際に胃カメラで粘膜下腫瘍を指摘されても全例で超音波内視鏡が行われるわけではありません。

超音波内視鏡を行うケースは「悪性を否定できない場合」とざっくりイメージしていただいて構いません。

(※施設によっては胃粘膜下腫瘍全例に超音波内視鏡検査を行う施設もあるので一概には言えませんが。)



次のような場合に悪性を疑います。

 ・短期間で急激に大きくなっている

 ・腫瘍の表面がゴツゴツしていて潰瘍や出血を伴っている場合

 ・腫瘍径が20mmを超える場合



このような場合は悪性の可能性があるため必ず超音波内視鏡(EUS)を行います。

悪性所見がなくても定期的にチェックを。

明らかな悪性所見がなければそのまま放って置いて良いものか?


答えはNOです。


基本的には主治医の指示に従っていただければ良いのですが、年1回くらいは胃カメラでチェックをしておいた方が安心です。


なぜならゆっくり大きくなるタイプの胃粘膜下腫瘍もあるからです。


例えば1年目に10mm程度だった胃粘膜下腫瘍が5年後に50mmを超える腫瘍に成長するケースも報告されています。


この場合2年目、3年目に胃カメラを受けていれば、徐々に大きくなる粘膜下腫瘍を見つけて早期に治療できたかもしれません。


特に特別な理由がなければ定期的な内視鏡検査でのチェックをお勧めします。

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