病院を受診した方がいい腹痛を見分ける6つの方法【不安だったら迷わず受診してください】


こんにちは。中川区水野クリニックの水野創太です。



前回病院のお医者さんがどのように腹痛を見ているかを説明させていただきました。




患者さんの症状と問診、腹部診察である程度病気の可能性を絞り込んでいく過程を少しだけわかっていただけたと思います。



でも実際にみなさんが知りたいのは「どういった腹痛だったら病院を受診すべきかどうか」ではないでしょうか?



基本的には腹痛がある場合には病院を受診したほうが安心でしょう。



しかし現在の新型コロナウイルス感染症の蔓延する状況下で、できるなら受診は控えたいと思われる患者さんも少なくありません。



そこで今日は腹痛で病院を受診すべきかどうかを判断する指標をご紹介させていただきます。



この記事は腹痛があった時に自宅で様子を見ることを推奨する意図では作成しておりません。



基本的には症状がある際には最寄りの医療機関への受診をオススメいたします。


それではいきましょう。

目次

病院を受診した方がいい腹痛を見分ける方法6選

①いつもと違う痛み


なんだそれ。水野は何を言っているんだ?



そう思われるかもしれませんが、この感覚が個人的には一番重要なポイントだと思っています。



みなさんはお腹を壊してつらい思いをされた経験はありませんか?



人によっては年に複数回そういった症状が出る方もみえます。



いつもと同じ痛みであれば、どんな痛みで、どれくらいで症状が良くなっていくかがおおよそ見当がつきます。



しかしいつもと違う痛みである場合、原因が他にあることがしばしばあります。


「いつもと違って痛みが強い。」
「いつもと違って症状が長引く。」
「いつもと痛み方が違う。」




自分の身を守るために人間に備わった第六感。



その力はあながち馬鹿にはできません。


②血便を伴っている



血便は食事の通り道のどこかで出血をしているサインです。



普段の生活を送る中でよっぽどの理由がない限り血便は出ません。



特に腹痛と血便がセットで起きる場合は入院が必要となることが多いです。



可能性としては虚血性腸炎、大腸がん、感染性腸炎、憩室出血(出血だけのこともあります。)などが挙げられます。



血便があって、腹痛があるときは迷わず医療機関を受診してください。



③同じ場所で持続する痛み


痛む場所がお腹の特定の部分だけというのは少し注意が必要です。



一般的な胃腸炎では、腸が過剰に運動することによりお腹全体が痛むことが多いとされています。



一方で痛む場所が変わらないというのは特定の部分が原因であることが推察されます。



例えば右の下腹部だけが痛む場合には虫垂炎(盲腸)を、右の肋骨の下だけが痛む場合には胆石症や胆管結石を疑います。



どちらも緊急で手術や処置が必要となることがあります。



お腹全体が痛むから大丈夫というわけではありませんが、同じ場所で持続する痛みがある場合は我慢せず受診しましょう。



④歩くとお腹に響く

歩いたり飛び跳ねたりした時にお腹の痛みが響く場合は、強い炎症がある場合があります。



腸の壁の深いところまで炎症が及んでいたり、腸に穴が開いたりすると腹膜炎を起こして激しい痛みを伴います。



歩くたびに痛みがお腹に響く場合は受診は必要です。



⑤ある時突然くる痛み


腹痛にはさまざまな原因がありますが、特に気をつけなければならない3つの原因があります。



それは『つまった』『やぶれた』『ねじれた』の3つです。



この3つは私が研修医の時に上級医の先生に口酸っぱく指導をいただいた思い出があり、今でも鮮明に記憶に残っております。


▶︎つまった


例えば腸を栄養する血管が血栓(血の塊)で詰まることで起きる上腸間膜動脈塞栓症(SMA塞栓症)と呼ばれる病気があります。

もともと心房細動などの不整脈がある患者さんでは血栓(血の塊)ができやすく、運悪く腸を栄養する血管である上腸間膜動脈(SMA)に血栓が詰まる病気です。


腸を栄養する血管が詰まると、腸が壊死(えし)して腐ってしまうため場合によっては緊急手術が必要になります。

▶︎やぶれた


「やぶれた」と言っても腸が破れる場合もありますし、腹部大動脈と呼ばれるお腹の太い血管がやぶれる場合もあります。


腸が破れる原因としてはがんや腸の壊死(えし)などが挙げられます。


事前にがんの存在がわかっているケースもありますが、腸がやぶれてしまったことでがんが判明することもあります。


症状がなくても胃カメラや大腸カメラを受けて欲しいとお願いする理由の1つです。


また腹部大動脈は病気のない方では問題ありませんが、長年の高血圧を放置していたり、動脈硬化が進んだ方では動脈瘤と呼ばれるコブができます。

このコブが何かの拍子に破裂することがあるのです。

いずれの病気も生命を脅かす危険な病気です。


▶︎ねじれた


「ねじれた」病気にも複数あります。


例えば女性の場合、卵巣がねじれる卵巣捻転という病気があります。


もともと卵巣のう腫と呼ばれる腫瘍が原因となることもありますが、ねじれている時間が長いと血流が途絶えて壊死してしまう可能性があります。


もちろん卵巣だけでなく、腸や精巣がねじれることもあります。


今ご紹介した『つまった』『やぶれた』『ねじれた』の病気はいずれも緊急対応が必要になります。


ある日突然何時何分に痛みが出てきたとはっきりわかる場合や、何かを拍子に急激に症状が悪くなってきた場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。


もちろんいつから痛みがあるかはっきりしないことの方が多いですが、急に来た痛みには注意が必要です。


⑥食事が摂れない



腹痛の有無に関わらず、食事が摂れないのはカラダのSOSサインです。



例え下痢だけであっても、食事が取れず脱水になる方は何人もみえます。



無理はせず受診をして点滴をしたり、場合によっては入院も考えられるケースです。


基本的には不安だったら病院を受診しましょう。


最後に皆さんに伝えたいことがあります。



「不安だったら無理をせず医療機関を受診してほしい」ということです。



コロナ禍で病院受診を控えたい患者さんが現在とても増えております。僕も患者さんだったらその気持ち痛いほどわかります。



しかしながら腹痛に関しては、実際にお腹を診察してみないとわからないことが多いんです・・・。



もっと言うと血液検査や画像検査をしないとわからないこともあります。



ですので無理はせず、不安だったらまずは医療機関を。



今回は以上です。



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