朝方の胸やけを治す方法5選【専門医が説明する逆流性食道炎の治し方】
今回のテーマは「胸やけ」についてです。
飲みすぎた翌朝は必ず胸焼けがする
朝起きると胃が重い
酸っぱい胃液が上がってくる感じがする
日常的な胸やけで困っている患者さんは実は結構いるんです。
そして何故だか朝方に胸やけは起きやすい。
朝の「さぁ頑張ろう」というときに症状があると、あまり気分の良いものではないですよね。
今日は胸やけの原因となる「逆流性食道炎」が起きる仕組みを知ることで、どうすれば症状を抑えることができるかを説明いたします。
それではいきましょう。
今回のポイントは次の通りです。
▶︎朝方の胸焼けを治すための方法5選
・腹八分目を心掛け、アルコールや味の濃いものは控えめに。
・食べてすぐ横にならない
・お腹を締めつけるような服は避ける
・タバコはすぐにやめたほうがいい
・薬を飲むなら寝る前に
●記事を書いている私のご紹介
名古屋市中川区、名鉄山王駅前の水野クリニック
医師の水野創太です。
普段は診療所にて内科、皮膚科、整形外科、外科など幅広い範囲の患者さんを診察しております。
専門は消化器内科で、胃カメラや大腸カメラを行っております。
患者さんにわかりやすい説明ができるよう心がけています。
目次
逆流性食道炎とは「胃のなかの胃酸や食べ物が食道に逆流して、胸焼けや胃の不快感を起こす病気」です。
胃酸は消化のために、食べたものを溶かすほどの強い酸です。
胃酸には口から入った病原菌を殺菌する力さえあるので、免疫力との関連もあります。
通常胃酸は胃で分泌されて、胃のなかに溜められています。
強力な酸に負けないような機能が胃にはありますが、食道にはありません。
ですので食道に胃酸がふりかかると、炎症が起きて食道炎となってしまいます。
「食事をすると胃酸が分泌されます。」
実に当たり前なことですが、逆流性食道炎を理解する上でとても大切なことです。
ヒトは食べ物を消化する過程で、食べることが刺激となり、胃酸が分泌されます。
分泌される胃酸が多いと、逆流する胃酸の頻度や量も増えます。
胃酸を分泌させやすいものにはアルコールやカフェインなどがあげられます。
フタの開いた水の入ったペットボトルを思いっきり握り閉めると、
ペットボトルの中の水は吹き出します。
同様に胃のなかに入った胃酸は、外部から圧迫されると、食道へ逆流します。
胃を圧迫するものにはベルトやコルセット、脂肪などがあります。
食べたものは消化管の蠕動運動(ぜんどううんどう)で、食道→胃→十二指腸の順番で奥へ進んでいきます。
座ったり立ったりしているときは食道と胃の位置は完全な上下関係になっており、重力にしたがって胃酸は食道から胃へスムーズに流れます。
一方横になっていると食道と胃の高さに差がなくなるため、胃から食道に胃酸が逆流しやすくなります。
胃酸が出た状態で横になると逆流性食道炎を起こしやすくなるというわけです。
ここまでの話を総括すると
「仕事帰りに仲間と飲み会に行って、そのまま酔っ払って家に帰って寝てしまう」
というのは一番逆流性食道炎を起こしやすいパターンということです。
①仕事帰り
多くのビジネスマンはスーツを着ています。
私服と違ってぴっちりとしたスーツで、ベルトやネクタイなどは体が締め付けます。
体外から圧迫されると、同様に胃も圧迫されるので逆流性食道炎が生じやすい状態となります。
②飲み会後
飲み会ではついついお酒を飲みすぎたり、味の濃いものを多く食べがちです。
アルコールや高タンパク、高脂肪食は胃酸の分泌を増加させます。
飲み会後の胃のなかは、食べ物を消化させようと胃酸がたくさん出ています。
③帰ってそのまま横になって寝る
みなさんお察しの通りですが、、、
胃のなかに胃酸をたくさん含んだ状態で横になると、胃のなかの胃酸がそのまま食道に流れやすくなります。
目が覚めた朝方に胸焼けやげっぷが出るのには、こういった仕組みがあるからです。
胸焼けが起こりやすくなる状況を踏まえて、具体的にどのような対応をとれば良いのかを説明していきますね。
たくさん食べれば食べるほど、胃は頑張って消化しようと頑張ります。
その結果たくさん胃酸を分泌しようとします。
お腹いっぱい食べるのではなく、腹八分目でおさえておくことが胃酸分泌をおさえる意味でも重要です。
またアルコールやコーヒーなどのカフェインは胃酸分泌を増加させるので注意が必要です。
それ以外にも高脂肪、高タンパク食は消化に時間がかかるため、結果的に食道炎を起こしやすくします。
食べてすぐは、胃のなかは胃酸分泌が活発な状況です。
そのような状態ですぐに横になってしまうと、余計に胃酸が食道に逆流しやすくなります。
食後は少なくとも2時間は横にならずに体を起こしておきましょう。
ですので寝る2-3時間前までには食事を済ませておくことをお勧めします。
どうしても横になる場合には、体の左側を下にして横になりましょう。
体の右側を下にして横になると、食道と胃のつなぎ目が緩み逆流しやすくなると言われています。
横になっている時に胸焼けをした場合、枕を高くするなどして胃から食道に胃酸が逆流しにくいようにしましょう。
スーツやベルト、コルセットや矯正下着などは体を締めつける作用が強く出ます。
その時の状況により難しいかもしれませんが、食事をするときはなるべくゆったりした服装で楽しみましょう。
また肥満も原因となります。
お腹周りの脂肪は腹圧を高め、逆流性食道炎を引き起こします。
タバコも逆流性食道炎の原因となります。
え?なぜ?と思うかもしれませんが、タバコは食道の運動をおさえ、腹圧をあげてしまいます。
実際に禁煙治療が逆流性食道炎に有効であることが論文でも示されています。
そのほか喫煙はご存知の通り、肺がんや食道がんの原因となるので、そういった意味でも禁煙を勧めています。
逆流性食道炎には胃酸の分泌を抑える薬や胃の粘膜を保護する薬が処方されます。
なかには市販の薬で対応をされる方もいると思います。
処方された薬に関しては主治医の先生と相談して内服していただくことをお勧めします。
市販薬であれば、翌朝の胸焼けをおさえることを目的としているのであれば、夜寝る前に飲むことをお勧めします。
朝胸焼けがしてから飲むのではなく、前日の夜に飲んでおくことで明け方の逆流症状をおさえます。
それでは今回のまとめです。
食事は腹八分目、食べてもすぐ寝ない
アルコールやタバコは逆流症状の原因です
朝方の胸やけをおさえるなら、寝る前に薬を飲みのもあり
コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が多くなりました。
ついつい食べる量も多くなって、そのまま横になってしまうこともあるかもしれません。
飲みすぎたり食べ過ぎたりしたときは、今回お話したことなんて忘れているかもしれません(笑)
ですのでふとした瞬間に思い出してみていただけると幸いです。
当院ではその他にも健康に関する様々な相談を受けております。
休診日木曜午後/土曜午後/日・祝祭日 最終受付は診療終了の15分前となります。
胃→胃カメラ 大腸→大腸カメラ
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